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第十二話

富永一隊は柵を開き一気に営内に駆け込むと兵舎のあちらこちらに予め手配をしておいた焼玉を投入すると一層勢い付いて、敵兵と見かけては刀身をギラつかせそのまま斬り付けていったのである。

「このまま一気に押し込め!城内にまで到達せよ!」

士気は高揚し、隊士たちは我先にと本懐遂げるべく只管に城を目指し刃を振るう。
鎮西の兵士は多勢ながら見えぬ敵を相手に、混乱酷くうろたえていた。

「敵はどのくらい居るのだ!」

「あの曲者共は何奴じゃ!!」

彼らの姿は鎮軍の兵士らには解らなかったのである。
突如怒った襲撃に、闇夜に紛れて姿も見えない。
混乱極まりいよいよ、敗走の色も見え始めたかと思われた頃、富永ら神風連の誤算が生じてきたのである。


彼等は急襲をかけて攻め寄せる際、兵営を焼き払おうと焼玉を投げ入れていた。それが営内、つまり戦場を大きく照らし視界を広くさせていたのである。鎮軍の将校はふと冷静に戦場を見渡し、怒声を上げた。


「敵は寡勢だ!怯むな!」

「そうじゃ、隊列を整え射撃をすれば一網打尽にできるぞ!」

慌てふためき逃げ惑う兵士達は、ハッと我に返り指揮官の声に耳を傾け逃げる己を何とかとどめた。
敵の数が少ないのであれば恐るるに足らずと。
兵士達はこの一言で力を盛り返し、急ぎ弾薬庫を開くと神風連隊士らを目掛け一斉射撃を開始した。

これにより、戦場は大きく形勢を変えた。
神風連隊士らはもとより小銃など近代兵器を持ち合わせていない。
従来の刀剣を以って戦おうと誓って未だに刀槍のみ。
流石にこれは歩が悪いらしく、富永部隊は次々と銃弾の前に斃れていった。福岡応彦、吉海良作ら幹部や井上豊三郎などであった。


この時砲兵営での合戦を迎えていた太田黒・加屋本隊は、歩兵営での戦闘が始まると同時に、同じく柵を越え無事進入を果たしていた
彼等は富永隊に同じく、この一戦に全霊を賭け望んでいたから、その勢いは凄まじく次々と兵士らを切り伏せていった。
やがて、兵舎は赤く炎に包まれ炎上し、営内は逃げ惑う兵士らの悲鳴と隊士らの怒声で騒然となった。
長老格で一党を指揮する斎藤求三郎は得意の槍術を以って活躍すれば、若い隊士らも我も続けと踊りでて刃を振るう。
と、暫くの混戦が続いた時、城南の坂より大島歩兵中佐が馬を飛ばし姿を現した。
彼は並ならぬ腕を持つ剣客で、若い隊士古田十郎や青木暦太ら二人を赤子の如くあしらう。流石にこれは若い彼等には厳しい展開となり危うくなってくる。

「ええい!俺が斬ってやろう!」

後方から躍り出たのは、首魁太田黒であった。
彼は大島中佐に飛び掛るや、一太刀でその胸部を貫き倒してしまった。太田黒は片手で斬り倒したのであったが、その少し前闇夜の戦場で不覚にも同志の刃にあたり、腕を負傷していたのである。
何にせよ、彼等は一人大物を仕留めた訳である。
そこへ、砲兵営を打破し掃討の指揮を執っていた加屋が傍へ駆け寄って来た。

「砲兵は壊滅しました。急ぎ富永隊と合流しましょう!」

彼は大小二刀を抱え、進言すると歩兵営を窺いキッと睨み付けた。兵力も多い歩兵営を富永ら70名の隊士だけで占拠するは厳しい事を誰もが承知していた。だからこそ、加屋もいち早く救援に向かいたいのだった。

「ああ、急ごう!」

と、そこへ野口らが一つの黒い塊を引き寄せてきたのである。
その黒い物体は砲兵から奪取した大砲であった。
彼等の言うにはそれを用い富永らとは違う道より進入し縦横に攻め寄せ混乱を煽ろうというものであった。
太田黒らは、最初少し躊躇ったものの、一刻も早く富永隊を助けたいと已む無く承知し、重たい大砲を引っ張って歩兵営へ向かったのである。

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神風連百三十年偲奉会も終わり、一旦会を解散し今後の運営を検討して参りましたが、運営方針が決まりましたので報告いたします。

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